側生地の選び方で、羽毛布団の快適さは決まる
「側生地って何を選んでも一緒でしょ?」 いえいえ、側生地の選び方で仕上がりの風合いが全く異なります。また、キルティング方法によって、仕上がりの厚み=保温力が異なります。羽毛布団をリフォーム(打直し)する場合、快適な眠りのためには、使う人の体質や好みに合わせた生地の選択が必要なのです。
元の羽毛布団と同じレベルの生地を選ばないと失敗することが多い
超長綿の80番手や100番手など、良い生地を使った羽毛布団を、例えばポリエステル85%綿15%のような、ポリエステルを使った側でリフォーム(打直し)すると、元々の生地の良さが損ねられてしまい、軽くはなりますが、蒸れやすい、しかも安っぽい仕上げになります。
羽毛布団をリフォーム(打直し)する際は、生地の選択も重要です。
自分の体質に合わせて仕上げの厚さを選ぶ
保温力の目安を知り、キルティングと充てん量を選ぶ
できるだけ、自分の睡眠や体質に合った羽毛布団を提供するために、10種類の厚さを設定しました。
寝室の保温力や、使う人の体質に合わせた選ぶことができます。もちろん、羽毛の量を増やしたり減らしたりすることができます。
オールシーズンということであれば、一般的な厚さの場合は7:中厚+3:肌掛で組み合わせます、都市部のマンションや高気密高断熱住宅であれば5:合掛+2:肌掛-の組み合わせでもいいでしょう。
厚さ | 代表的な使用時期 | 具体的には | キルティング(マチ高) |
---|---|---|---|
10:厚手 | 12~3月 | 日本家屋で寒がり | CON二層キルト |
9:普通厚+ | 11~3月 | 通常家屋で寒がり | 変形5×5 7cm |
8:普通厚 | 10~4月 | 一般的に販売されている標準厚 | 変形5×5 7cm |
7:中厚 | 10~4月 | 高気密高断熱住宅、暑がり、子ども | 5×6 7cm |
6:中厚- | 10~5月 | 高気密高断熱住宅で暑がり | 5×6 7cm |
5:合掛 | 3~5月 9~11月 | 冬用では暑く感じる場合 | 5×6 4cm |
4:肌掛+ | 4~5月 9~11月 | 主に初夏 | 5×6 直 |
3:肌掛 | 5~6月 9~10月 | 初夏~梅雨明け 冬は重ねて | 6×7 直 |
2:肌掛- | 5~7月 9~10月 | 夏にエアコン使用時 | 6×7 直 |
1:薄掛 | 6~9月 | 夏にエアコン使用時 | 7×9 直 |
価格表中 厚手は厚さ10、普通厚は厚さ8、中厚は厚さ7、合掛は厚さ5を示します。
羽毛の充填量は、羽毛のパワーと側生地の重さによって異なります。この厚さ表示は、目安とご理解ください。
季節や体質や住環境に合わせて、10段階の厚さを用意しました
寒がりの方におすすめ 厚さ10 厚手 二層CONキルト 最も高い保温性がある二層構造でふっくら仕上げた厚さ10の厚手仕上げ。 寒がりの方、特に寒冷地や、伝統的な日本建築など保温性の低い住環境の方におすすめ。 二層CONキルトは、市場に多いツインキルトよりも、マス目が多いので片寄りが少ない。 | |
標準的な保温力 厚さ8~9 普通厚 変形5×5立体キルト 7cmマチ 標準的な厚さ。身体の中央部に縫い目が来る4×5マス(シングル)の欠点を改良して、保温性を改善したキルト。 厚さ8が普通厚の標準で、少し保温力を上げたい場合には羽毛を増量した厚さ9(普通厚+)にする。 | |
都市部のマンションや暑がりの方に 厚さ6~7 中厚 5×6立体キルト 7cmマチ マス目を増やすことで、薄めの厚みで保温性を向上させたキルト。 都市部のマンションや高気密高断熱住宅であれば、これがベスト。通常の住宅でも暑がりの人や、代謝量の高い子どもや若い男性などにもおすすめ。 厚さ7が中厚の標準で、さらに暑がりの方は羽毛の量を減らした厚さ6(中厚-)にする。 | |
中間時期に重宝する厚さ 厚さ5 合掛け 5×6立体キルト 4cmマチ 4~5月、10月などの季節に向いた、中厚よりマチを低くしてさらに薄めに仕上げたキルト。 冬用を使うには暑すぎて、肌掛けを使うには薄いという季節用で、厚さ5が合掛け。 高気密高断熱住宅の子どもさん用にもおすすめ。 | |
寒がりの方向けの肌掛 厚さ4 肌掛け+ 5×6直キルト 標準的な厚さ3の肌掛よりは厚手の仕上げにするため、マス目を中厚や合掛けと同じにして、直キルトにしたもの。 肌掛より羽毛の量が約25~30%多めにしている。 | |
初夏から夏へ使う肌掛 厚さ2~3 肌掛け 6×7直キルト 5月~10月上旬にかけて使用する肌掛布団。キルトマスを中厚より増やして、2枚重ねでも使えるようにしている。 厚さ3が肌掛の標準で、それよりも暑がりの方向けに羽毛を約20%減らした厚さ2(肌掛-)がある。 | |
真夏にエアコンと一緒に使う薄掛け 厚さ1 薄掛 7×9直キルト 真夏等にエアコンを使う場合などに、厚さ1の薄掛を使用する。(あるいは、厚さ2の肌掛-) キルトマスは63マスと多く、最も薄い。 |
高気密高断熱住宅や、暑がりなら中厚仕上げ 5×6キルト
シングルで5×6マス=30マスは中厚という、標準よりは少し薄めの仕上がりになり、マスが多い分通気性も向上します。
都市部のマンションや、昨今多い高気密高断熱住宅、代謝量の多い男性や若者、子どもさんはこれぐらいで仕上げた方が無難です。
また、お客様用も季節を幅広く使える中厚仕上げの方がいいでしょう。
立体キルトのマチ高さは7cmで、完全立体キルト加工もできます。
4~5月に最適な合掛け布団を作る場合は、5×6キルトはそのままで、マチを4cmマチにします。
この場合は通常立体キルトのみです。
迷ったら、一番無難な標準仕上げ 変形5×5キルト
従来の一般的な厚みの仕上げです。
一番無難なので、迷ったらこの厚みに仕上げておきましょう。
眠りのプロショップSawadaでは、両サイドを1/2にした変形5×5仕上げをおすすめしています。
身体の中央部に縫い目が来ないので、熱の逃げが少なくなり、身体のフィット性も向上します。
立体キルトのマチ高さは7cmで、11cmのふっくらオプションや、完全立体キルト加工もできます。
一般に多い4×5キルトがかかえる問題点
日本に出回っている普通厚仕上げの羽毛布団は、ほとんどが4×5マスキルティングです。
このキルティングは中央部分に縫い目が来るために、熱が逃げやすく、保温力が低下するという問題を抱えています。
上記の変形5×5キルトであれば、その問題は解決できます。
寒がりの方には二層構造CONキルト
寒がりの方や、基礎代謝量が下がってきた高齢の方、従来の日本家屋で部屋が寒い場合は二層構造になったキルティングでふっくら厚めに仕上げます。
二層CONキルトは、表側が3×5マス、裏側は変形の4×6マスでキルトの交点が表と裏で中央になるように仕上げています。
多く出まわっている表3×4マス、裏側4×5マスの場合は襟元の羽毛が逃げやすくなるという欠点があります。
二層CONキルトはそのような欠点を克服するための、より複雑なキルトです。
保温力が高いために、場合によっては11月末ぐらいに冷え込まないと使えないという場合もありますので、二層式にするかどうかはカウンセリングでお選びください。
オールシーズンで考えるなら中厚+肌仕上げ
春秋は中厚、初夏~初秋は肌、冬は二枚合わせという組合せで年間通して使えるのが2枚重ね方式です。
通常立体キルト と 完全立体キルト
5×6キルトや変形5×5キルトなど、二層構造キルト以外のキルティングは「通常立体キルト」と「完全立体キルト」の2種類をお選びいただけます。
通常立体キルトの場合、羽毛を充填するためのホースを差し入れるために、マスとマスの間には隙間が作られています。そのために、使用しているうちにマス目間を羽毛が移動して片寄ることがあります。
一方、完全立体キルトは特殊な縫製をして、マス目間を羽毛が移動できないような工夫がなされています。そのために、羽毛が片寄ることがありません。眠りのプロショップSawadaではS9100以上の羽毛ふとん側は基本的に完全立体キルトをおすすめしています。
なお、合掛けに使用する4cmマチ、肌掛けに使用する2cmマチの場合は、通常立体キルトのみになります。
足し羽毛の選び方と考え方
羽毛を洗浄除塵すると、量が減ります
羽毛布団をリフォーム(打直し)する際には羽毛を洗浄・除塵・選別を行ないます。そうすると、ゴミ等が取り除かれるので、当初の羽毛の量より減ります。減る割合は、元の羽毛の品質によって異なり、良い羽毛ほど減る割合が小さくなります。羽毛布団のリフォームは羽毛の通信簿といえるでしょう。
減る割合はステッキーダウンや440dpのプレミアムゴールドラベルの羽毛なら約10%ぐらい、ロイヤルゴールドラベルクラスなら15%ぐらい、エクセルゴールドラベルクラスなら20%ぐらいが目安です。
ただ、使用状況によって減る羽毛の量は変わります。プレミアムゴールドラベルの羽毛であっても、15年以上洗っていない、汗かきで相当汚れているなどのケースでは15%以上減ることもあります。
いままでの経験で最も減ったのは40%でした。ただ、30%以上も減るような羽毛の場合は、リフォームできないわけではありませんが、ゴミが出やすくへたりやすい羽毛なので、このクラスは買い換えをおすすめしています。古い羽毛布団でも足し羽毛を増やせばリフォームが可能になります。
長く洗っていない羽毛は、回復しにくい+量が減りやすい
羽毛布団を長く使うために、私どもでは下記のような手入れをおすすめしています。
定期的に丸洗いなどの手入れができているといいのですが、15年も洗ったことがないという羽毛布団も多くあります。この場合汚れがこびりついて、洗剤を多くして洗っても羽毛の嵩が充分に回復しない場合があります。そうなると、元の羽毛が良くても洗浄除塵の過程でより多くの羽毛が失われることになります。
できるだけオリジナルに近い羽毛を足すこと
ふっくらさせるだけならともかく、長く使うためには、元々入っていた羽毛と同じレベルの足し羽毛にすることをおすすめします。特に上質な羽毛の場合、安い足し羽毛をすると、その良さが損なわれることも多いので、できればグースダウンの羽毛にはグースダウンを足すのが理想的です。羽毛の状態と合わせてカウンセリングの上、ご提案をいたします。