羽毛布団リフォーム(打ち直し)の工程

眠りのプロショップSawadaの羽毛工房ダウンラボのリフォーム工程を説明します。

かなり汚れてへたっているリフォーム前の羽毛
羽毛を開けたところ
目次

1.お預りした羽毛布団から羽毛を取りだしてチェック

まず羽毛布団の端を少し空けて、中の羽毛を取りだして羽毛の状態をチェックします。リフォームすることができるのか、リフォームする価値があるのかどうかをここで判断します。

この羽毛はダウンボールが小さく、スモールフェザーも多めです。なにより、長期の使用で羽毛が壊れてゴミがかなり多い状態です。リフォームをやれ、といわれればできなくはありませんが、基本的には買い換えがおすすめです。

こちらは、元々私どもでお仕立てさせていただいた羽毛布団です。ゴミが少なく、ダウンボールも大きさが揃っています。元はハンドピックのホワイトグースダウンです。これなら、もちろんリフォームした方が良いです。

2.新しい羽毛布団の側と足し羽毛の種類を選ぶ

お客様の体質や睡眠の状態、寝室などの睡眠環境をお聞きして、 今までより保温力を上げるか、逆に通気性を重視するかを決め、側の生地のグレードやキルティング方法を決めます。羽毛を洗浄除塵すると羽毛が減りますので、足し羽毛をどのレベルにするかなど、ご予算も含めてカウンセリングさせていただきながら、最適なものをご提案いたします。

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お買得な羽毛リフォームパックを利用する

羽毛布団側と標準の足し羽毛をパックにした「お買得リフォームパック」を用意していますので、通常はこれを選んでいただくことが多いのですが、リフォームパックをベースに生地や足し羽毛を変更することもできます。

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最終的に決定したら、羽毛リフレッシュ(洗浄除塵)工程に入ります。まずはビデオを見てください

3.羽毛を解体して、洗浄機に入れる

羽毛を一マスずつ解体しながら、羽毛用の洗浄機に入れます。この解体も丁寧に時間をかけて羽毛を取り出します。中厚+肌掛のような2枚合わせの場合は、2枚同時に解体して一緒に洗います。これにより、洗浄コストを下げることができます。

4.羽毛洗浄機で羽毛を洗う

通常は洗剤を使った洗いが1回、すすぎが2回ですが、汚れ方によっては洗剤の量や、洗いの回数を増やします。プレミアムダウンウォッシュは直洗いです。羽毛を袋に入れてあらうダウンウォッシュと比べると、ダウンの隅々まで洗浄液が行き渡るので、羽毛の汚れが落ちやすいだけでなく、すすぎなどの行程で洗い流すために、ゴミ等が残りにくくなります。

洗浄が終わった羽毛

5.羽毛乾燥機で120℃で乾燥する

洗浄が終わった羽毛は乾燥機で乾燥をしながら、こまかな羽毛ゴミを取り除いていきます。乾燥温度は最大120℃ですので、ダニ等はもちろん死滅しますし、殺菌効果もあります。

オゾンによる脱臭殺菌

乾燥終了後は選別機(ソーティングマシーン)に送られ、その時点でオゾンによる脱臭殺菌を行います。

6.選別で重いゴミや大きな羽根を取り除く

左の部屋から空気を送って、右へ軽いダウンを移動させます。
選別後に元の部屋に残った羽毛ゴミ

選別機はLorch社の羽毛リフレッシュマシンの特徴です。1つの部屋から次の部屋へ風によって羽毛を送ります。風の強さを調節することで、重いゴミやダウンに比べて重いスモールフェザーやフェザーを取り除くことができます。

Lorch社の羽毛リフレッシュマシンによる洗浄除塵は以上です。ただ、この方法だとダウンファイバーなどの軽い羽毛ゴミは、充分に取り除くことができません。そこで、最後に除塵機を通します。

7.除塵機で小さなホコリを取り除く

羽毛除塵機
除塵機の内部。小さな穴だらけのシリンダーで羽毛ゴミを取り除く

除塵機によってダウンファイバーや小さなネックフェザー、などのホコリを取り除きます。通常は3~5分ですが、羽毛工房ダウンラボでは10分間除塵を行います。

8.羽毛計量器でリフレッシュ後の羽毛の重量を計る

除塵後は羽毛計量器で羽毛の重量を計ります。良い羽毛だと10%程度、通常は15~20%ぐらいが失われます。過去には30%以上減ってしまったこともありますが、30%も減るような羽毛はリフォームはおすすめいたしません。

右側の窓の部分が羽毛計量器

9.足し羽毛をする

重量と羽毛の状態を見ながら、足し羽毛をします。通常の羽毛布団リフォームパックの標準足し羽毛は200gです。しかし、元々の羽毛が非常に良い場合は、200gまで足す必要が無い場合もあります。そのような場合は、金額に見合う上級グレードの羽毛を足したり、その逆もあります。

最初の羽毛チェックの段階で標準足し羽毛で足らない可能性がある場合は、必要に応じて最大100gまで足しをします、など前もってこちらの判断で足すことのご了解をいただきます。もしくはその時点でお客様の判断を仰ぎます。今までの経験からは、足したとしても50~100g程度であるケースがほとんどです。

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新品の羽毛布団を仕立てる場合は、この計量器に新品羽毛を入れます。

10.サイクロン充填機で充填する

羽毛をマスごとに充填して羽毛布団に仕上げます。シングルの場合、4×5マスなら20マスですが、二層式CONキルトの場合は42マスに入れる必要があります。2つの計量器を使い、交互に一マス一マスずつ軽量します。

充填パターンはエクセルで計算する

均等にいれるのではなく、中央部やへたりやすい襟元には多めにいれるなど、長く快適に使うために適度なバランスで量を加減しています。

完全立体キルトで縫製されている羽毛布団の側の場合、充填量を入れ間違えると取り返しが付きませんので、慎重に確認しながら充填を行って行きます。

サイクロン式充填機
空気の渦で、最後にさらにゴミを取り除きます

充填機はサイクロン方式で、羽毛がサイクロンの渦で回転しながら充填します。時間はかかるのですが、この時点でもまだ含まれているホコリやネックフェザーを取り除くことができます。新品の羽毛でもある一定ゴミが含まれているので、非常に有効な充填機です。

11.入口を閉じて仕上がり

最後に、充填した布団のバランスを確認した後、入口をミシンで閉じて、ホコリをとれば仕上がりです。羽毛ケースに入れてお届けします。

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