羽毛布団のリフォーム(打ち直し)に失敗しないためには

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羽毛布団をリフォームしたのに…風合いが台無しに

「せっかく費用をかけて羽毛布団をリフォームしたのに、ふっくら感は戻ったけど、風合いが台無しになってしまった」 

羽毛布団のリフォーム(打ち直し)は10年に一度が理想。丸洗いと違って、費用も掛かります。失敗しないように、自分に合った仕立をすることが大切です。

羽毛のプロの目:嵩がふっくらすれば、本当に良いのだろうか?

先日、ネットであるリフォームの広告を見てびっくりというか、唖然としました。

それは、軽量の新合繊アルファイン生地を使った3×4マスの羽毛側生地に300~500gのリサイクルダウンを足して1,500gにするというものです。

毎日羽毛布団のリフォーム加工を行なっている立場からいえば、突っ込み処満載といわざるを得ません。

確かに3×4マスキルトはマス目の面積が大きいのでふっくらと仕上がります。その代り片寄りが出やすいので、多めに羽毛を入れる必要があるのです。その面では1,500g入れるのは妥当といえるかもしれません。

しかし、このリフォーム方法では生地がポリエステル混で軽いと言うこともあり、おそらく極厚のぽんぽこぽんの羽毛布団に仕上がります。本当にこんな嵩が要るのでしょうか?

断熱性の高い住宅が増えてきたので、特に都市圏のお客様からは暑くなりすぎない羽毛布団へのご要望が増えています。従来の4×5キルトから、より細かな5×6キルトへリフォームすることが多くなりました。

嵩高が欲しいのであれば、CON二層式(上層3×5マス-下層4×6マス)にすれば、片寄りもほとんどなく、保温性を確保できます。

リフォームするときは、使用環境に合っているか、体質に合っているかで相談してお決めいただきたいと思います。

失敗その1:生地の風合いが悪くなってしまった

もともと使用していた生地よりも安い生地にすると、当然ですが風合いが落ちます。

よく聞くのは、元の羽毛が良い品質のもので、側生地が超長綿80番手サテンであったのを、同じ超長綿でも糸が太い60番手サテンにしたら、生地が硬く重くなったというものです。80番手サテン生地の重量は114g/㎡、60番手サテンだと136g/㎡と約20%重くなってしまいます。

まだ60番手のサテンならましで、40番手の平織だと、あきらかにガサガサと音がします。これならしない方がましかもしれません。

最近では西川のような大手メーカーでも、リフォームの側にポリエステル混の側生地を使ったりします。確かに安く、風合いも柔らかいものが多いのですが、ポリエステル混は布団が蒸れます。元々の快適さが失われるのです。

失敗その2:身体へのフィット感が悪くなってしまった

身体にフィットしないということは、キルティングと中の羽毛の量のバランスが悪いためです。ふっくらしている方が保温性が良いからといって、詰めすぎてはいけません。

特に上質な羽毛ふとんは良い羽毛を使っていることが多いので、リフォーム過程で減る量が少ない傾向にあります。それを他の羽毛布団と同じように、足し羽毛をすると膨らみすぎて、反って身体へのフィット感が失われたりします。

元の羽毛布団が二層式であったものを、通常の一層式にリフォームした場合もフィット性が悪くなることが多いでしょう。しかも、一層式はシングルサイズの場合、ほとんどが4×5マスです。このキルトは、身体の中央部に縫い目が来るので、フィット性も保温性も低下しやすいのです。

5×6マスキルトのような、フィット性を重視した羽毛布団を、4×5マスにする場合も、フィット性を大きく損ねます。

羽毛布団を購入されるときに、体質に合わせて選んでらっしゃることは、まずありません。だからこそ、リフォームする際には、使う人に合わせたキルティングと羽毛の量を選ぶことが重要なのです。

失敗その3:暑すぎる、蒸れる

結婚時には、ある程度ふっくらした嵩のある羽毛布団を購入したが、しばらくして家を建てたら、暑すぎて、もう少し薄めに仕上げたい。

最近は高気密高断熱の住宅が増えました。大都市部のマンションや最近の住宅では、冬でも部屋の温度があまり下がりません。ふっくらしすぎる羽毛布団は、冬でも暑すぎたり、蒸れて不快になりやすいのです。

このようなケースでは、リフォームする際も、住宅の気密性を考慮することが必要です。3×5マスや4×5マス、あるいは二層式などのふっくらしすぎる羽毛布団は、5×6マスのようにマスの数を増やして、薄めに仕上げる方がいいでしょう。

代謝量の高いお子さんや、お客様向けの羽毛布団も同様です。中厚ぐらいの仕上げの方が無難です。

買い替え特例の割引を使って、古い羽毛布団を有効利用する

25年ぐらい使ったので、さすがに買い替えをなさった場合に、いままでの羽毛布団を捨てるのはもったいないので、リフォームしてお客様など予備用にするケースがあります。

この場合は、中厚ぐらいに仕上げておくと、お子さんやお孫さん用にも対応できます。

あるいは、古い羽毛布団を合い掛け布団に仕立て直すケースも増えてきました。使用頻度も少なくなるので、古い羽毛でも十分対応できることが多いのです。

普通厚の掛布団を合掛けふとんと肌掛け布団に仕立て直すと、足し羽毛も不要で、リフォーム加工賃と側代だけですむケースがほとんどです。

眠りのプロショップSawadaには、あるレベルの新品羽毛布団をご購入いただいた場合、お買上枚数分はリフォーム価格から20%割引にて提供するサービスがあります。

失敗その4:もう少し広い巾に仕上げたらよかった

ダブルサイズを二人でお使いの場合に、そのまま同じサイズでリフォームするよりは、少し幅広のクィーンサイズに仕上げた方が、羽毛布団の取り合いが少なくなります。

シングルサイズは幅が150cmなのに、ダブルサイズは190cmしかありません。二人で使うには明らかに幅が狭いのです。

せっかくの機会なので、最低でも210cm巾のクィーンサイズにするべきでしょう。これはベッドサイズがダブルサイズ(140cm巾)でも、掛はクィーンの方が合います。

逆に、狭く仕上げた方が良い場合もある

逆に、ご年配の方で介護ベッドなど、両側に手すりがあるベッドをお使いの場合は、小さめに仕上げた方が良いのです。

ベッドが羽毛布団でいっぱいになって、ご本人が埋もれているというケースもすくなくありません。通常のシングルサイズ150×210cmでなく、135×200cmぐらいに仕上げた方がいいでしょう。

ダブルベッドでダブルサイズ(190×210cm)の羽毛布団をお一人で使ってらっしゃるケースも結構見受けられます。体格の良い方ならともかくも、普通の体格であれば掛布団はセミダブルサイズ(170×210cm)に仕立て直した方が、使い勝手がいいでしょう。

失敗その5:15年以上手入れをしていない 10年ごとのリフォームが理想

明快な失敗ではないのですが、実際にリフォームにお持ち込みいただく羽毛布団はご使用15年以上が多いのが現状です。

実際、羽毛布団リフォームの実例をみていただいても15年、20年が当たり前のようです…が、リフォームの作業をする羽毛のプロとしての立場からいうと、15年以上手入れをしていないというのは、やっぱり無理があります。

羽毛の損傷が多くて、ゴミが増えていたり、汚れや体の脂等がこびりついて、球状にかたまって、洗っても羽毛が開かないなどの状況がけっこう見られます。

こびりついた汚れはきれいには落ちません。せめて5年に一度でも丸洗いをなさっていると、かなりましになります。表裏1時間でも日光浴すると、布団の湿気が抜けます。

その上でリフォームは10年ごとがおすすめです。長く使うべきものですから、日ごろのお手入れを十分に。

羽毛布団のリフォームに失敗しないためには、まずカウンセリング

一般の羽毛布団リフォームは、側生地と足し羽毛の説明だけが多いと思います。寒がりは二層式キルトにしましょう、ぐらいです。住環境や体質に合わせて、嵩を減らしたり、組み合わせを提案することはまずありません。

しかし、羽毛布団は長く使うものです。自分に合ったリフォームを見つけましょう

まずはカウンセリングから

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