リフォームのお問合せや実際にリフォームを行うことが多い大塚家具さんの羽毛布団、ダウナ(DAUNA)を実際にリフォームしてみました。
16年ご使用のダウナ羽毛布団
比較的に綺麗に使ってらっしゃいましたが、ご購入から16年経っておりますので、さすがに生地と中身が弱ってへたっています。
中の羽毛を取りだしてみました。ポーランド産のホワイトグースダウン95%で1,050g入り、キルティングは4×5マスです。
中の羽毛のは非常にしっかりしたものです。リフォームについては全く問題がありません。羽毛は1,050gでしたが、側の重量は約700gです。85g/㎡ぐらいの生地ですね。
リフォームの実際の工程
当店では解体から羽毛の洗浄、分別、除塵、新しい羽毛側への充填までを羽毛工房ダウンラボにおいて一貫して行ないます。それぞれの段階で常に羽毛の状態をチェックしながら、最適なリフォームを行なっていくのです。オレンジ色の機械はドイツLorch社の羽毛リフレッシュマシンで、解体した羽毛の洗浄・乾燥・殺菌・選別を行ないます。日本でこの機械を導入している寝具店は2店舗のみです。
右側の白い機械は除塵機で、Lorch社の羽毛リフレッシュマシンだけでは残るダウンファイバーやネックフェザーなど不要な羽毛のゴミを取り除きます。これがないと、ホコリの少ない羽毛にはなりません。
まず、羽毛ふとんを解体をしながら、羽毛をLorch社リフレッシュマシンの洗濯機に送り込みます。
羽毛ふとんを解体したところ、立体キルト部分のマチ高は約11cmでした。マチ高が高いとふっくら仕上がりますが、マス目の空間が大きくなる分、羽毛が片寄りやすくなるという短所もあります。
羽毛を全て取りだしたら、洗濯機では洗い一回、すすぎ二回の工程で洗浄します。洗剤は有機系の安全なものを使っています。約15分間の洗濯が終わると、脱水された羽毛は洗濯機の中にへばりついた状態になります。
ここから羽毛を乾燥機に送ります。乾燥機では120℃の温度で乾燥させて、同時にホコリ取りが行われます。
約15分の乾燥工程の後、羽毛はソーティング(分別)機に送られます。最初にオゾン発生器でオゾンを送ります。これは殺菌と脱臭を行うためです。
ソーティングは空気を送風で送ることで、ダウンなどの軽い羽毛と重いフェザーやゴミを分別します。羽毛工場だと何段階もソーティングを行いますが、リフォームの場合はこの1段階のみですが、羽毛工場の機械を作っているLorch社のノウハウが活かされています。
ソーティング(選別)が行われて、重めの利用できない羽毛のゴミなどを取り除いて羽毛のリフレッシュ工程は終了するのです。ただ、この状態ではダウンファイバーのような軽いゴミを取り除くのが不十分です。そこで、当店では新たに羽毛除塵機を加えて小さなホコリやゴミを10分間かけて取り除きます。
今回は、長年使ってらっしゃったこともあって、残念ながらソーティング行程でのロスが多く出てしまいました。そのため、羽毛リフレッシュ後の重量は約860gとなりました。10年ぐらいのご使用でしたら900g~950g程度残ったと思われます。定期的(3~5年に1度程度)丸洗いをすると、汚れがこびりつかずにロスが少なくなります。
なお、一般の羽毛だと15~20%ぐらいがロスとなりますが、羽毛の状態が悪いと30%ぐらいロスすることもあります。ただ、30%もロスをするような羽毛は、かなり損傷が大きいので、この場合はリフォームよりは買い替えをした方が良いでしょう。
430dpのポーランドホワイトグースダウンを200g足して、約1,050gを新しい羽毛布団側に吹き込みます。
今回の羽毛布団側は当店オリジナルのS9100生地で、変形5×5キルトです。生地重量は85g/㎡とダウナのオリジナル生地に比べると、生地重量は同じで、糸は細番手で打ち込みが高くなります。
ダウナオリジナルの4×5キルトだと身体の中央に縫い目が来てしまいますが、変形5×5キルトだと中央に膨らみの部分が来るために、同じ量でも保温性が高く、身体にフィットしやすい構造です。マチ高は7cmです。今回はお客さまのご要望で完全立体キルト仕上げにしました。完全立体キルトはマチが独立しているために、マス目間で羽毛が移動することがありません。
吹込みが完了しました。後は吹込み口をミシンで縫って完了です。リフォームによって新品のように甦りました。
今回のリフォーム費用は ダウナ用 S9100リフォームパック(430dp足し羽毛)完全立体キルト加工 で71,900円(税・お客さま宅までの送料込み)となりました。