純正でリフォームされたダウナの羽毛布団の問題点
ダウナの羽毛布団をダウナでリフォームされた羽毛布団から、数年すると羽毛が出てくるというお客さまからリフォーム依頼をいただきました。
羽毛布団を解体して判明した問題点-生地が違う
解体後の羽毛側を計量すると820~830g(2枚ご注文でした) 以前にダウナそのものを解体したときは約700gでしたので、湿度の違いを考えても重すぎます。ちなみに私どものK9800(80番手平織 生地重量94g/㎡)での側生地重量は790g。解体後の羽毛側に羽毛が一部残っていることを考えますと、ほぼ同じレベルではないかと思われます。
ダウナのオリジナルで使われている生地は解体後700gですから、私どもでいうとTE200(110番手平織生地 打込み351本 重量75g/㎡とほぼ同じ重量です。ダウナは打込み本数が295本と低いので、実際には100番手の平織である可能性が高いです。当店オリジナルの100番手は350本打込みで85g/㎡なので、この推測を裏付けています。
つまりダウナのリフォームに使われた側生地は通常より20%以上重い生地が使われています。80番手の平織と100番手の平織では、価格が2倍近く違いますので、ちょっとびっくりです。
大塚家具さんの羽毛布団リフォームメニューをみてみると、ダウナのレギュラー側生地で77,000円、その上に超長綿60サテンで83,600円と価格が逆転していましたので、おかしいなぁと思っていたのですが、側生地がこれならあり得ない話ではありません。
また、実際に中の羽毛を取りだして、洗浄除塵したところでは、今回はポーランドマザーグースが足されていたようには思われませんでした。これも、リフォームをされた時期で内容が異なるのかもしれません。
1,150g入りでリフォームを仕上げました
洗浄除塵前のダウンの状態です。通常のダウナと違い、小さなスモールフェザーにダウンが絡まった重めのダウンの塊が多かったために、これらは選別過程で除去しました。またファイバーも散見されたので、長めの除塵時間を取り、ハンガリー1Aマザーホワイトグース ダウン95% 450dpを200g足して 1,150gで仕上げました。
通常、ハンガリー1Aマザーホワイトグース ダウン95% 450dpを入れて新品で作る場合は950g入りです。1,100gでも十分かと思いましたが、2回目のリフォームで、羽毛の疲労がでていることも考えて、1,150gといたしました。リフォーム前が1,200gでしたが、かなりふっくらと仕上げることができたと思います。
今回は2枚リフォームのご注文で、1枚は羽毛の吹き出しを避けるためにS9100(100番手平織 85g/㎡ 通気度3.5cc)を、もう1枚は通気性を重視してTE200(110番手平織 75g/㎡ 通気度5.0cc=ダウナオリジナルの生地に最も近いもの)で、変形5×5にして、さらに羽毛の移動がおきない完全立体キルトで仕上げました。
リフォームをした場合の羽毛の充てん量について
あくまで私どもの基準の羽毛を使った場合ですが、上述のハンガリー1Aマザーホワイトグース ダウン95% 450dpで羽毛の新品を作ると950g入りで仕上げます。
これを12年後にリフォームした場合は同クラスの足し羽毛をして1,000gぐらいで仕立てるようにしています。
このリフォームされた羽毛をさらに10年後にリフォームする場合は1,050gと、羽毛のパワーが少しずつ落ちてくる分5%程度多めに入れるようにしています。長く使うためには、途中もメンテナンスも欠かせません。