羽毛布団は水洗いできないことになっている
羽毛布団についている品質表示ラベルを見ると、取扱いの方法には「羽毛布団のクリーニングはできるだけ避けてください」と記入されていることが多く、洗濯表示ラベルを見ると「水洗い不可」「ドライクリーニング」指定になっていることがほとんどです。
ドライクリーニングでは羽毛の側生地の汚れを取るのが精一杯
しかしながら、ドライクリーニングでは羽毛の側生地の汚れは取れるものの、中の羽毛の汚れを取るのは非常に難しいのが現実です。
実際には羽毛布団の丸洗いサービスは多い
一方で、クリーニング店では羽毛布団の丸洗い(水洗い)を行っているところがほとんどです。コインランドリーなどでも「布団が洗える」ことから、羽毛布団を洗っているケースも少なくありません。
ウォッシャブル表示の羽毛布団はどうなのか?
その一方で、丸洗いできることをアピールした、ウォッシャブル羽毛布団というものもあります。ウォッシャブルという表示があるということは、そうでない羽毛布団は洗えない・・・ということですが真実はどうなのでしょうか?
羽毛布団を丸洗いするとダウンプルーフ機能が落ちて吹き出し易くなる
羽毛は生地から吹き出し易いために、ダウンプルーフという加工を行って、吹き出しが出ないようにしています。ところが、このダウンプルーフ加工は丸洗いをすると機能が落ちる-つまり羽毛が吹き出しやすくなります。
ダウンプルーフの現実
ダウンプルーフの強さは、生地の通気度(cc/s)という数値で判断します。(1平方センチで1秒間何CCの空気を通すか)
これは当社のリフォーム用定番羽毛生地SE1014(100/140番手サテン生地)の試験結果です。一番下の通気度、これはプラジール法で測りますが、L-0で1.1、L-1で2.9とあります。これは、仕上げ状態で通気度1.1、洗濯1回後で2.9になるという意味です。かなり通気度が変化します。
つまり、1.1→2.9は、ダウンプルーフの機能が洗濯することで低下したことを示しています。例えばE6060という比較的ポピュラーな超長綿60番手サテンの場合は、1.6→3.7となります。もちろん、洗濯回数が増えれば、さらに通気度は上がります。
低品質な羽毛はゴミが多く、吹き出しリスクが高い
ふとん地流通業界の基準によると、綿100%のサテン生地の場合通気性は3以下、一回洗濯後4以下と定められています。ところが低品質な羽毛を使うと、ダウンファイバーが出やすくなります。上記の例でいうと一回洗濯後の3.7はぎりぎりです。もちろん洗濯回数が増えるほど数字は上がります。
日本の場合、羽毛が少しでも生地から吹き出すとクレームにつながることが多くなります。長く使用していると羽毛が壊れてゴミになり、さらに吹き出しリスクが高くなります。その為、メーカーもクレームを回避するために、水洗いは禁止の表示になったと思われます。
400dp以上のホワイトグースダウンなら吹き出しは少ない
実際にはロイヤルゴールドラベルクラス以上のホワイトグースダウンであれば、丸洗いすることによる吹き出しはあまり気にしなくてもいいでしょう。一方で、ダックダウンや中低級品のグースダウンはダウンファイバーなどのゴミが一定あるために、吹き出しリスクは高くなります。
サテン(朱子織)よりバティスト(平織)の方が吹き出しにくい
日本の羽毛布団生地のほとんどはサテン(朱子織)です。サテンは洗濯するとその構造が歪んだりしやすく、新品時と洗濯後の通気性の変化が大きくなります。
一方バティスト(平織)は経糸緯糸が交互に織られているので、生地が安定しています。もともと羽毛が出にくい構造になっているのです。
これは当社オリジナル生地S9100(超長綿100% 100番手平織)の生地の試験結果です。メーカーには通気度が3.2~3.5の間になるように指示しています。(ロットごとに誤差が出るのは避けられません) この場合平織で、しかも経糸180本×緯糸170本とほぼ同じ糸の打込みなので、洗濯後も通気度変化が極めて少ないことがわかります。
結論-羽毛布団を丸洗いしても良いかどうか
- 羽毛布団を丸洗いするのは、基本的に保証外・自己責任で
- 良質の羽毛であれば、トラブルは少ない
- 平織生地の方がおすすめ
眠りのプロショップSawadaでは
- 快適性を追求しているので、通気度が高く軽い生地を使っています
- 吹き出しリスクを下げるために高品質400dp以上の羽毛のみを扱っています
- 丸洗い時は専門のプロにおまかせいただきます
ウォッシャブルで丸洗い簡単にできるけど、蒸れて不快(下記ウォッシャブル参照)では意味がないと考えます。快適性を最優先して、綿100%で軽量(100g/㎡以下)で高通気度(2cc/s以上)の生地が基本です。ドイツWeidmann社の生地は通気度が5~6もあり、非常に軽量(69~75g/㎡)です。これらの生地を使うために、ホコリの少ない400dp以上の羽毛に限っています。さらにドイツ製生地では、さらにホコリの少ないステッキーダウン(絡みの強いダウン)に限定しています。
10年以上であれば、羽毛布団リフォームを
長年-羽毛布団を使っていると、羽毛布団の生地も弱くなり、中の羽毛も壊れてゴミが増えます。その状態で丸洗いすると、生地へのストレスが増えて、吹き出しが増えるリスクが高くなります。10年使った羽毛布団はダウンを直洗いするプレミアムダウンウォッシュ加工によって、リフォームすることをおすすめします。
ウォッシャブルな羽毛布団はどうなのか?
ウォッシャブル羽毛布団と称して丸洗い可能な羽毛布団はどうでしょうか?それらの多くはポリエステル100%やポリエステル混の生地を使っています。肌ふとんなどに多いのが特徴です。これらは、通気度を1以下に抑えているものが多く、洗濯後も2程度で収まる生地を使っていることが多いようです。
ポリエステルの生地の特徴は乾きやすいのが特徴であり、肌布団は羽毛の量が少ないために、乾きやすいのです。そのため、ウォッシャブルとして販売されています。ただ、側生地の通気度が低いと蒸れやすい寝具になります。これらは肌布団が多いのですが、湿度の高い夏には向きにくい側生地だといえるでしょう。
ウォッシャブルと丸洗い可の違い
一般にウォッシャブルと表示した場合は、洗濯ネットに入れるとしても、洗濯機やコインランドリーで普通に洗えることを意味しています。手軽なのですが、生地にストレスがかかりやすく、通常の掛け布団だと乾燥が不十分になる可能性もあります。この場合は乾燥をしっかりするようにしてください。
一方私どもの羽毛布団は丸洗い可と表示しています。綿100%で細番手の生地が多いために、洗濯機やコインランドリーで洗うと生地への負荷が高いため、専門の丸洗い業者にお任せいただいた方が洗浄も確実です。肌ふとん程度であれば、自宅で押し洗いでもいいでしょう。
丸洗いする頻度は?
3年に1度ぐらいを推奨しています。基礎代謝量が少ない女性であれば5年に1度でもいいかもしれません。毎年洗うことを推奨している業者がいますが、洗いが過ぎると、羽毛の油脂分が奪われ、弾力性がなくなって羽毛が壊れていきますので、当店はおすすめしておりません。
ノンダウンプルーフ生地はおすすめか?
ノンダウンプルーフという生地もあります。ダウンプルーフ加工をかけずに高密度で織って吹き止めをしている生地です。樹脂加工がされていないので、生地自体の吸湿性が優れています。一時は羽毛を自然状態で生かす加工であるともてはやされました。
しかしノンダウンプルーフの欠点は高密度に織っているために生地が重くなってしまう欠点があります。ノンダウンプルーフの生地は洗濯をすればするほど通気度が低下する傾向があるため、生地が重いことと、通気度の低下で湿度調整能力が下がることを考えると、おすすめではありません。
以下の内容は羽毛側生地では国内有数の蔭山さんのWEBサイトより引用