羽毛を真綿でサンドイッチした構造の真綿羽毛布団
1990年頃から中国で真綿布団が作られ輸入されるようになりました。この頃に生まれたのが羽毛布団を真綿布団の側でサンドイッチする構造の真綿羽毛布団です。その後ロマンス小杉の特許となり、ロマンスナイトという名前で販売されてきました。
シングルサイズの場合、両側に0.3㎏の手引き真綿を入れた側に、ダウン90~93%の羽毛を1.0㎏入れるのが一般的でした。当時は羽毛の普及期で、羽毛の軽さに慣れない方も多く、真綿と羽毛の長所があり、それなりに重量感のあってフィット性の良い真綿羽毛布団は、羽毛布団の入門版として当店も多くのお客様におすすめしました。
今回は20年ほどお使いになったロマンス小杉の真綿羽毛布団のリフォームです。
リフォーム前の羽毛布団 | ||
サイズ | シングル 150×210cm 滋賀県長浜市Kさま | |
メーカー・使用歴 | ロマンス小杉 ご使用約22年 | |
真綿・羽毛 | 外側 手引き真綿0.3㎏×2(中国製側) 羽毛 ホワイトグース ダウン90% 1,000g 総重量 3054g | |
側 | 綿サテン100% 3×4 立体キルト | |
所見 | 年数が経っており、側生地が破れて中の真綿が少し出てきている 羽毛の片寄もあって、かなりへたっている状況 |
通気性に難がある、ロマンスナイト真綿羽毛ふとん
羽毛布団の解体を始めたところです。外側の生地には真綿があり、タフタという白い生地を挟んで、羽毛があります。実はこのタフタという生地は通気性が非常に悪いのです。羽毛布団の生地は吹き出し防止のダウンプルーフ加工をしますので、通気性が押さえられています。真綿羽毛布団の場合、外側の生地はダウンプルーフをしていないため、真綿層までの通気性は良いのですが、タフタ生地で遮られてしまうので、中の羽毛の良さはあまり活かされません。
この反対側も同じような構造になっているため、身体から発散された湿気は2枚のタフタ生地で遮られてしまう結果になります。ロマンス小杉のカタログには「側生地にダウンプルーフ加工をする必要がなく(本当)生地本来の通気性や質感がそのままです」は外側の真綿層だけなら正しいのですが、布団全体としては極めて通気性に難がある仕様です。
プロの目からみると、これだけ通気性の低い生地(口を当てて強く息を吹き付けましたが通りません)では、中にどのような羽毛を入れても変わらないということになります。
身体に当たる部分の真綿が千切れてなくなってしまっている
画像の左側の真綿は部分的に薄くなっている部分もあるものの、残っていますが、右側(身体が毎日触れる中央部には真綿がほとんど残っていません。
この当時の真綿布団にも多く発生していますが、わた切れして、身体が当たる部分が擦り切れて片寄り、真綿が無くなってしまうのです。通気性のある真綿部分で、真綿が無くなってしまうのでは、真綿羽毛布団の本来の良さは失われてしまっています。今回は22年ご使用ですが、経験的には10年ぐらいでわた切れが発生します。
元と同じような真綿羽毛布団に仕立て替えるとすると、現在ロマンスナイトのリフォーム価格は154,000円~264,000円(足し羽毛付き ロマンス小杉価格) コストパフォーマンスが良いとは思えません。
中厚の羽毛掛布団と真綿肌ふとんを組み合わせたほうがまし
これなら、1,000g入りぐらいの中厚羽毛掛布団と真綿肌ふとんを別々にして、組合せた方が利口です。真綿羽毛布団という、アイディアは当時秀逸と思って当時おすすめしましたが、この状態ではかなり厳しい評価を下さざるを得ません。
通常の超長綿80サテンで足し羽毛を増やしてリフォーム
中に使われていたホワイトグースダウンのパワーがあまりなかったのと、元々1000gで洗うと750gまで減ってしまいました。通常の200g足しでは全く足りませんので、400g追加して600g足しを行い、1350g入りで仕上げました。
リフォーム後 | ||
リフォーム日 | 2024.5.31 | |
サイズ | シングル 150×210cm | |
側生地と総重量 | 超長綿80番手サテン 変形5×5立体キルト 7cmマチ | |
羽毛の量と足し羽毛 | 1350g 足し羽毛 フランス・ホワイトダック ダウン90% 400dp 600g | |
費用 | リフォームパック S80R 追加羽毛400g すべて込み 56,900円(税込) |