大塚家具のダウナ羽毛ふとんは、生地から羽毛が吹き出すという話を聞きます。実際に当店でリフォームしたお客さまのダウナ羽毛ふとんを調べると、ダウンファイバーと呼ばれる羽毛のゴミが吹き出しているケースが少なからずありました。それが気になってリフォームをしたいというケースも結構あります。
ヨーロッパ製の平織生地は通気性が高く吹き出し易い
ダウナ(Dauna)羽毛布団に使われているスーパーソフトバティスト生地はドイツ・Sanders社のPB品番ではないかと推測しています。特別仕様の生地かもしれませんが、生地の重量や打込み(295本)から考えますと、これが最も近い製品と思われます。
日本の平織生地は通気度4.0cc以下が基準とされていますが、ヨーロッパでは5cc以上と通気性の高い生地が多いのです。これは羽毛を使っている歴史が長く、少々の吹き出しは気にならないのではないかと思われます。通気性が良ければ、羽毛の良さを活かせますが、一方でゴミの多い羽毛だと側生地からの吹き出しが出ます。
生地の打込みが甘い?
PB品番は81/90番手で打込み本数が295本、同クラスのFB135だと81/81番手で打込みが307本です。打込み本数とは、通常1インチ(=2.54cm)四方の経糸と緯糸の本数を合計したものです。上の図でいうと右から4列目 thread-cout sq がそれに当たります。
ちなみに右から2列目の thread-count cm2 は1cm四方の本数です。この2.54倍がインチ平方の打込み本数です。
FB135生地の81/81番手で307本が標準とすると、PB品番のように緯糸がより細番手(81→91)になる場合、通常打込み本数は増えるべきなのですが、逆に打込み本数が少なくなっています。この打込みが甘いゆえに、使用していてる内に吹き出しやすくなるのではないかと推測できます。
生地の通気度は仕上げロットによっても微妙に異なりますので、出にくいロット、出やすいロットがあったりします。
意外にスモールフェザーとダウンファイバーが多いダウナの羽毛
先般、ほとんど未使用のダウナ羽毛ふとんをリフォームする機会に恵まれました。新品状態の羽毛を確認することができる良い機会です。ただ、未使用といっても20年前の品ですので、ダウン率等については当時の基準と現在では異なるかもしれません。
まず目に付くのはスモールフェザーが多いということです。ラージフェザーに近いものも含めてかなりあります。ダウン率表示95%ということですが、目視では90%が良いところかもしれません。ヨーロッパの表示ではダウン100%と表示されていても、実際にはダウン90%程度であることが多いので、20年前だと、今より基準が甘いのかもしれません。
ダウンファイバーもかなりあります。通常このクラスだと、取りだした後に、側生地に羽毛が残ることはあまりありません。カウフマン社の羽毛をリフォームする場合は、ファイバーが少ないためか、生地に残るのは非常に少ないのです。ところが、ダウナの場合、側生地に残りやすいネックフェザーに加えて、ダウンファイバーが結構生地に残っていました。これだけ残っているのであれば、生地の打ち込みの甘さを含めて考えると、羽毛の吹き出しが出やすい状態だと思われます。
結論:ダウナが吹き出しやすいのは、生地の打込みの甘さとダウンファイバーの多さ
結論めいたことをいうと、生地の打込みが甘い(通常より少ない)ため通気性は良いが、吹き出しやすい状況にあること、マザーグースと謳いながらも、結構ダウンファイバー(羽毛ゴミ)が目立つので、それが吹き出ていると推測されます。
吹き出しの問題はリフォームしか解決方法がない
残念ながら、布団を丸洗いするとさらに悪化する可能性が高いので、リフォーム(仕立て直し)時に、ダウナに近い重量で、より打込みがしっかりしている側生地を使うことしか解決方法がありません。
当店オリジナル生地のFB100はダウナの生地と重量(85g/㎡)がほぼ同じで、100番手のインド超長綿を180/170 つまり350本打込みで仕上げており、この生地なら吹き出しのリスクは非常に少なくなります。
またドイツWeidmann社のGOTS認証オーガニックコットンを使ったTE135G生地も、重量90g/㎡で、80番手のオーガニックコットン超長綿を154/153 307本で、これも問題なく使えます。
サテン生地を使うと、生地が30%~60%以上重くなり、通気性も大幅に低下しますので、ダウナの持つ良さが失われてしまいますの要注意です。
ダウナは丸洗い厳禁、さらに吹き出しが増える可能性大
ダウナの生地は新品状態でも吹き出しやすいのに、水洗いすると吹き出し防止加工(ダウンプルーフ)がさらに甘くなり、より吹き出しやすくなります。丸洗いを避けて、丸洗い対応できる生地でリフォームするしかありません。