

ゴアテックス加工が剥がれてしまった羽毛布団
リフォームでお預りした羽毛布団(旧:大阪西川製)です。羽毛布団にしては表の側生地の打込みが甘く、かなりソフトな感じでした。お客様からは「羽毛が吹き出ている」とのこと。
結婚の際に購入なさったようで、使用期間は15~18年ぐらいです。
リフォームするために、羽毛を解体して羽毛を取り出します。この時に、通常は側生地に貼付けてあるゴアテックス・メンブレンがあちこちで剥がれてしまっています。


上の画像をごらんください。表側の生地はゴアテックスが、側生地に貼付いたままで残っていますが、裏生地の部分はゴアテックスが完全に剥がれていて、綿サテン生地だけが残っています。
冒頭の画像は、襟元でこちらは表も裏も剥がれてしまっています。
これでは羽毛が噴き出すのも無理はありません。
ゴアテックスは羽毛布団になじまない
ゴアテックスはスキーウェアなどのスノージャケット用がメインでした。水蒸気は通すけど、水滴は通さないということで、普及した素材です。
ゴアテックス羽毛布団は、このゴアテックスの機能(ゴアテックス・メンブレンというのだそうです)を通常の側生地に貼り付けて、「身体からでる湿気は放出するけど、羽毛のホコリやダニは通さない、羽毛は汚れない」という機能で、主に大阪西川が中心に販売されてきました。今日でも西川の羽毛布団ラインアップにあります。
GORE® 羽毛ふとんは、一般的な羽毛ふとんの約1.3倍の透湿量(水蒸気を通す量)があります。おふとん内の湿気をすみやかに発散するので、汗かきの方もムレにくく快適におやすみいただけます。(西川ホームページより)
確かに今回のリフォームでも羽毛はきれいな状態でした。それでは羽毛が本来持つ吸湿発散性が活かされているのかというと疑問です。


10年経ったら必ずリフォームをすべき
以前にも何件か同様のケースがあったのですが、今回のように、これほどひどくゴアテックスが剥がれているのは初めてです。
ホコリが出ないと謳っているにもかかわらず、ゴアテックスが剥がれたら、ゴミは出放題、ダニも出入り自由なぐらいの羽毛布団になってしまいます。
かつて、熱融着キルトで縫い目がない羽毛布団が出ていましたが、これも10年ぐらいで熱融着が取れてしまったケースもあります。
ゴアテックスの羽毛布団は10年でのリフォームを強くおすすめします。